

あきちギャラリーで開催する展覧会では、最後となった、アニメーション作家 稲葉まりさんの初個展『ユメルヘン』。過去5年間で手がけた、オリジナル作品やPV・CMなど、コマ撮りアニメーションの素材と原画の展示をメインに、アニメーションの上映、インスタレーションなどで構成。ユメとメルヘンが混じり合ったちょっとヘン(変)な世界をつくりあげました。
ひとつひとつ手描きで描かれたアニメーションの素材は、どれも愛おしく、実際に目にするとその繊細さや込められたエネルギーに圧倒されます。
アニメーションにする際には、これらのパーツを少しずつ動かしてコマ撮りで撮影した画像を繋げて動いているように見せているのですが、稲葉さんは、絵の背景に微妙な遠近感を出すために、ガラス板を台として重ね、レイヤー構造をつくり手前と奥、キャラクターと背景の絵に実際に距離をつくり出し、空気感を演出しています。
稲葉さんから、アニメーションがつくられるまでの裏側(コマ撮り撮影の仕組み)を見せるというアイデアがあり、レイヤー構造の展示方法を採用。壁に飾られる絵画とはまた違う、物語の断片が現実の空間に溢れ出した、まさにユメルヘンな展示になりました。
オープニングイベントでは、ダンサーの黒川モモさんによるパフォーマンス(音楽:Gutevolk)、会期中には、さやさん(Tnenniscoats)、今井和雄さんによるライブを行い、ダンスと音楽の力で、展示空間はさらにユメルヘンな世界に変容。現実とユメの世界の境界線が溶けあい、狭間に生まれる不思議な領域を散歩している。そんな感覚になる時間を観客のみなさんと共有できました。
文:石井芳征(KANZAN)
写真:ただ(ゆかい)
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2002年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。クリエイティブユニット生意気を経て、06年より独立。ドローイングやコマ撮りを用いたアニメーション制作、MVなどのディレクション、グラフィックデザインを中心に活動している。新作アニメーションを含んだDVDマガジン「VISIONARY」が発売中。http://www.mariinaba.net/